DX(デジタルトランスフォーメーション)は、日本だけでなく世界中で注目されています。既存システムの老朽化やブラックボックス化、ビジネスモデルの変革に対する危機感の少なさなど、日本ではまだまだ課題も残るとされているDX ですが、世界にはマーケットを牽引するさまざまな革新的なプロダクトを生み出したリーダーたちが存在します。
彼らはどのように課題を乗り越え、DX化につながるプロダクトを創出してきたのでしょうか。当記事では日本が直面する課題や、世界のリーダーたちの歩みにスポットを当てていきます。
※DXとは:ビジネス環境の激しい変化に対応し、データやデジタル技術の活⽤により顧客や社会のニーズを基に製品・サービス・ビジネスモデルを変⾰すること。加えて、業務そのものや組織、プロセスや企業⽂化・⾵⼟の変⾰により競争上の優位性を確⽴すること。
「2025年の壁」とは、経済産業省の「DXレポート〜ITシステム『2025年の壁』克服とDXの本格的な展開~」で提示された考え方のこと。当レポートでは2025年以降には、既存システムの課題による経済損失が年間最大12兆円(現在の約3倍)にまで増加する可能性が示されており、これが「2025年の壁」と呼ばれる理由です。
経済産業省:「DXレポート〜ITシステム『2025年の壁』克服とDXの本格的な展開~」
レポートによると、現在多くの産業がデジタル技術を活用してビジネスを推進している一方で、複雑化、老朽化、ブラックボックス化したITシステムを使用している企業が依然として多く存在しているとのこと。しかし、多くの企業ではDXの推進が経営層や現場からの抵抗に直面しており、DXをどのように進めるかが大きな課題となっています。
この章では、「2025年の壁」を超えるためのヒントを見つけるべく、世界を代表するリーダーと、その歩みの一部をご紹介します。DXを牽引してきたリーダーたちは、特定の業界や市場に存在する課題を深く理解し、それらの問題を解決するために多様なプロダクトを開発してきました。
スティーブ・ジョブズは、彼の友人である天才プログラマーのスティーブ・ウォズニアックが開発したApple Iの販売を目的の一つとし、Appleを創設しました。「創造性とは繋ぐ力」という哲学の下、MacintoshやiPhoneなどの革新的な製品を生み出しました。ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った伝説的なスピーチ「Connecting the dots(点と点を繋げる)」は、過去の経験や選択が将来に影響を与えるという彼の哲学を象徴していると言えるでしょう。
また、ジョブズは若い時から東洋の思想に強く影響を受けていたことはよく知られています。複雑さを排除し、シンプルで直感的なデザインと製品を重んじたのは、ジョブスが魅了された「禅」の思想も無関係ではないでしょう。ジョブズの美意識より生み出された数々の製品は、産業に大きな影響を与え、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するDXの典型とされています。
Appleは単なるメーカーとしての役割を超え、iTunes StoreやApp Storeなどのエコシステムを通じて、ユーザーがデジタルコンテンツに容易にアクセスできるようにしたことも大きな功績と言えます。ジョブズが世に送り出した様々な取組は、現代のDX戦略の基礎を築き、多くの企業や業界にデジタル革新のモデルとなっています。
ジェフ・ベゾスは、Amazon.comの共同創設者として、オンラインショッピングを通じたDXの新たな道を切り開きました。「店頭に足を運ぶ時間を節約したい」「店頭では入手困難な商品を気軽に購入したい」というユーザーの悩みをオンラインの世界で解決したことは、ベゾスが生み出したAmazonの大きな成果です。
「顧客中心主義」の哲学に基づき、サービスの中核を担う商品として「本」を選びました。本が製品ジャンルとしての認知度が高く、仕入れが容易で、かつ市場も大きいという点に着目した選択だったようです。本の販売からスタートしたAmazonですが、その後は日用品から家電に至るまで、幅広いジャンルの製品を取り扱うまでに事業を拡大します。現在では、Amazonでは有形の商品のみならず、映画や音楽といった無形のコンテンツもオンラインでレンタル、購入が可能となってることも有名です。
幼少からプログラミングに親しんだマーク・ザッカーバーグは、学生時代に複数のサービスを立ち上げます。情報のオープン性を主張し、19歳でFacebookを開発します。2004年に開始したこのサービスは、世界中の人々をよりオープンに繋げるソーシャルメディアとして拡大していきます。ザッカーバーグや経営幹部は「人々が何を求めているのか?」「どんなニーズがあるのか?」といった疑問を思い込みや偏見にとらわれず、徹底的にデータと向き合い課題解決に繋げてきました。
また、ユーザーの反応を随時確認しながら新機能を提供し、反応が悪ければすぐに機能を削除するというアップデートを何度も実行します。その後、Instagramの買収なども経て世界最大規模のソーシャルメディアプラットフォームに成長し、デジタルマーケティング分野に多大な影響をもたらしました。
今回紹介したリーダーたちは、従来型のビジネスモデルや運用上の課題を理解し、テクノロジーを活用して新しいソリューションを提供することでDXの推進に貢献してきました。彼らに共通していたのは、直面する課題を解決するための手段や対策を、自らの哲学・信念をもって考案し、それを具体的なプロダクトとして創出、推進してきたことです。自らの枠を超えて行動を起こし、新たな価値を生み出していきました。
日本におけるDXの課題に対しても、世界のリーダーたちが示したこのような働きかけは大いに参考になるでしょう。このような精神や態度を習得するためにはどのように学びを進めればよいのでしょうか。そのヒントとして最後にご紹介するのが「アントレプレナーシップ」です。
この「アントレプレナーシップ」については、当サイトにて詳しくご紹介しているほか、Slackコミュニティにご参加いただくことで理解を深めることができます。どのような未来を歩むにせよ、アントレプレナーシップは重要な考え方になってくるはずです。新しい価値を生み出すためにぜひ参考にしてみてください。
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