地域の課題解決に挑戦。ますます注目が集まる地方創生の今 地域の課題解決に挑戦。ますます注目が集まる地方創生の今

地域の課題解決に挑戦。ますます注目が集まる地方創生の今

ニュースなどでもよく耳にする“地方創生”という言葉。この言葉は2014年に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生法」を皮切りに広く認知された言葉です。政府による地方活性化への取組は、「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」においても継続して注力すべきとされています。

以前は、⾃治体や地元企業が中心となって進めることがほとんどでしたが、近年、地域課題の解決を通じた地域活性化を目的に、社会性やビジネス性の高い取組を行うスタートアップが増えています。今後も、さらに様々な企業がこの領域に参入してくることが予想されています。

本記事では、実際に早くから地域課題の解決に向き合ってきたスタートアップを中心に、各企業が行う取組にスポットを当てていきます。

参考:内閣府地方創生推進事務局「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」

1 農業モデルの確立による地域活性化を実現|株式会社Happy Quality

農業モデルの確立による地域活性化を実現|株式会社Happy Quality

企業WEBサイト:https://happy-quality.jp

静岡県に拠点を置く「株式会社Happy Quality」は、データドリブン農業を通じて地域農業の活性化に貢献しようと、青果市場に20年以上勤めていたベテラン競り人宮地 誠氏が起業したスタートアップです。宮地氏は、高品質な農作物が相場変動に左右されてしまう農業経営の不安定さに課題を感じ「生産から流通までの世界のスタンダードを創る」というビジョンのもと同社を設立します。

同社では市場流通や農学、テクノロジーなど専門知識を有するメンバーが研究開発を行い、ビックデータやAI、光学センサ等を用いて、高品質・高単価なトマトの安定生産、パートナー農家からの全量高単価買取と品質保証を行う「Happy式マーケットイン農業モデル」という農業経営支援サービスを提供しています。このサービスにより、フランチャイズ形式の農家であれば、誰でも「高機能・高品質・高単価」の「ハピトマ」というブランドトマトを生産できるようになりました。

また、昨今は価格・生産の不安定さが原因で所得の不安を抱える農家が多く、農業就業人口が減少傾向にあります。いわゆる「後継者不足」により農業の技術が途絶えてしまい、加えて若い世代が育たず、生産量の不足に陥ってしまう農家も少なくありません。宮地氏はそんな課題を解決し、農業の未来を開拓するために「誰にでも稼げる農業」の実現に力を入れています。同社のサービスが浸透することで、若い世代を中心とした農業人口増加による地域活性化が実現するかもしれません。

出典|月間事業構想(2022年9月号):Happy Quality 農業×AIで新たな世界基準を生む

2 デジタルアートを通じた収益力の構築|株式会社あるやうむ

2 デジタルアートを通じた収益力の構築|株式会社あるやうむ

企業WEBサイト:https://alyawmu.com/

北海道のスタートアップである「株式会社あるやうむ」は、NFT※を通じて地域に埋もれる魅力を発掘し、日本全国、世界に届けることで、稼げる・盛り上がる地域づくりを支援するために代表の畠中 博晶氏が立ち上げました。

※NFTとは「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」のこと。暗号資産(仮想通貨)と同じく、ブロックチェーン上で発行および取引される。

畠中氏は「東京に情報が集中しており、地方では最新技術が発展しにくい」という課題を感じていました。「東京の企業が地方企業にツールを提供し、利用料の収入が東京に吸い上げられる」といった状況を地方から変えるべく、自身の憧れの地である札幌を拠点に同社を設立します。同社の代表的な事業は、「ふるさと納税×NFT」。ふるさと納税の返礼品として、地域の景色や特産品、伝統工芸品などをNFTに乗せて届けるサービスを行っています。

さらに、同社は観光とNFTを組み合わせた事業も展開しています。例えば、特定のスポットに訪問することでもらえるNFT化された「お土産フォトフレーム」や、観光時にのみ利用できる特別なNFTなど、訪れる人々に特別な体験を提供する独自のNFTの開発などが挙げられます。

出典|株式会社あるやうむ:代表あいさつ

3 独自の技術で脱炭素・カーボンニュートラルを目指す|株式会社OPTMASS

独自の技術で脱炭素・カーボンニュートラルを目指す|株式会社OPTMASS

企業WEBサイト:https://optmass.jp/

京都府を拠点とする「株式会社OPTMASS」。同社は発電する窓ガラスの技術開発を行うスタートアップです。「街を森に!」をスローガンに、発電する窓ガラスが都市にエネルギーを供給する未来の実現を目指しています。

同社の代表取締役中川 徹氏が目指しているのは、赤外線を吸収して発電する「透明太陽電池」を世の中に送り出すことです。クリーンで持続可能な太陽光エネルギーにかつてないほどの大きな注目が集まっているなか、太陽光エネルギーのうちエネルギーとして利用されているのは可視域の光のみ。太陽光全体の約50%を占める熱線はこれまで利用されていないという背景がありました。

中川氏は、地球に降り注ぐ太陽エネルギーの約半分である赤外線を、透明太陽電池により産業的に利用したいという思いから、日本全国の高層ビルへ透明太陽電池の設置を進めています。もし今まで人類が利用できなかった赤外線を電気エネルギーとして利用する技術が確立されれば、気候変動や化石燃料の枯渇など、様々な社会課題の解決を通じたエネルギー革新に役立つと、中川氏は考えているようです。

出典|KSII – 関西イノベーションイニシアティブ公式Youtube:株式会社OPTMASS‐大学発ベンチャーのご紹介

地域課題を解決しようとするスタートアップに共通する力とは

地域課題を解決しようとするスタートアップに共通する力とは

今回紹介したスタートアップすべてに共通する特徴は、地域や社会に存在する問題を自分事としてとらえ、技術や革新的なアイデアを通じて解決しようとしている点でしょう。また、能動的なアクションにより既存の商品やサービスを進化させ、地域や社会の課題解決に取り組む姿勢も共通しています。

このような姿勢を身に付けるためにはどのような学びが必要でしょうか。そのヒントとしてご紹介したいのが、従来の枠組みを超えて新たな価値を創造しようとする「アントレプレナーシップ」という考え方です。今回紹介したスタートアップは地域を基盤として、アントレプレナーシップに基づく様々な取組を考案し、実践しています。各スタートアップの取り組みは、地域社会はもちろん社会全体にとっても意義のあることと言えるでしょう。

アントレプレナーシップに関しては、当サイトで詳しく解説しています。また、Slackコミュニティにご参加いただくことで、よりアントレプレナーシップの理解を深めることができます。

詳細は下記リンクをご覧ください。